ヒトミワイナリー／滋賀県

琵琶湖の南、紅葉で有名な滋賀県東近江（旧永源寺町）は、四季それぞれに豊かな自然が楽しめる美しい土地。
そこに「にごりワイン」の専門メーカーヒトミワイナリーがあります。大のワイン好きだった創業者が、全くゼロの状態から自家農園のブドウ畑やワイナリーを作り上げ、独自のワインを開発したのが始まり。

｢にごりワイン｣とは、果汁を発酵させてワインができあがる途中の甘さが残ったもろみを濾過をしない状態で瓶詰めしたもの。健康にいい食物繊維やミネラルが、濾過したワインよりもたくさん入っています。
瓶中に残る果実繊維や酵母、酒石酸などによりアルコール感を減らしているので、ワインが苦手という方でも美味しく楽しめる味わいが特長。
はじめは教科書通りのワイン造りをしていましたが、なかなか美味しいワインが造れず苦悩の日々。
そんなある時、作り手が毎朝タンクからすくって飲んでいる「にごったワイン」が美味しい。製作途中のワインでありながらも、作り手が素直に美味しいと感じるワインのこの味を伝えたくて「にごりワイン」が生まれました。

今では、日本では唯一無二の「にごりワイン」の専門メーカーとして全国にファンがいます。

しかし、そこに至るまでは苦悩の日々でした。
ワイナリーとして経営するためには無濾過の教科書通りのワインを生産しなければならない……一時的ににごりワインは売れたけれども、そのブームも去り、ふたを開ければ在庫の山。
「自分達のワイン作りはこれで良いのか？」と悩み、不安に襲われた時期がありました。

「ワイン作りは、いろんな国の伝統や技術があり、その土地ならではの味や、作り手の想いは、自分達の造るワインにしっかりと表現される。」
それならば、やはり自分達のこの素直に美味しいと感動する「にごりワイン」を迷わず作っていこうと決心しました。

ヒトミワイナリーの「個性的に楽しく、農産物であるワインを美味しくお届けしたい」という理念。

｢農産物であるワインを美味しく届けたい｣とは、SO2添加をゼロに近づけるためのワイン造りをまずは心がける。
ブドウはできるだけ傷が少ない状態の良いものを自社畑と周辺の農家から買い付けています。
社長の岸さんは、｢安心できるブドウが一番大事だから｣と言います。

｢個性的に楽しく｣とは、ワインの味わいと個性的なラベルに表現されています。
というのも、アパレル業界のオーナーの方針により、ラベルはすべて醸造家がデザイン。
それぞれが独自の味わいを追及し、そのイメージをラベルへ。
これがワイン造りのモチベーションにも繋がっていて、意識の高さにも表れているそうです。